ボランティアの若者
佐々木正美
ある新聞社の厚生文化事業団の主催する、盲精薄児のための夏季合宿に何年か続けて参加したことがある。その合宿は大勢の大学生ボランティアによって支えられていた。
ボランティアの若者たちは、みんな明るい活気に満ちあふれていて、楽しい遊びのプログラム作りが上手であった。重い障害を背負った子どもと一緒に参加している両親も、二泊三日のその間だけは、日ごろの苦労を忘れたように、海や山やプールや広場の遊びに興じることができるようだった。若者たちはみんなすばらしい遊びの創作家で、なによりも善良であった。
筆者は職業柄、心身障害児たちの種々の療育合宿に、毎年何回か参加するが、こうしたボランティァの若者たちがリーダーシップをとるこの合宿以上に、楽しい合宿やキャンプの経験がない。心身障害児の治療や教育に従事している専門家がプランする合宿よりも、はるかに楽しいのである。そのことは、障害児たちの表情にも現れているし、参加した家族の人たちもそう言っていた。
若者たちは「善意」と「奉仕」の意欲に満ちて、夏休みの大部分を千葉の海辺の合宿所で、盲精薄児のほかにも肢(し)体不自由児、交通遺児、養護施設児たちと過ごすのである。彼らは青春のエネルギーを全開して、それぞれが自らの存在感や生きがいを満喫しているように見えた。だからこそ、彼らの計画や実践には、参加者のだれもが心の底から共感し得るような、創意や工夫があふれるように感じられるのであろう。
若者たちは、みんな相互にニックネームで呼び合って、親密なグループを構成していた。それぞれが自分の価値観で選んだ青春期の集団に所属し、仲間の支持を得て大きく自我の拡大・成長を図ろうとしている。
そこには将来おそらく、真に自主的で創造的な仕事に従事するであろうと思われる、一つの典型的な青春の群像があった。
後日、筆者は自分の勤務先の所在するY市のYMCAで、その時のボランティア青年に会った。彼はそこで体育活動のリーダーをしているが、重症の心身障害児にも活動の門戸を開くために、慎重で用心深い館長を説得するのに数ヵ月を費やして、結局許可を得たという。現在その活動はすっかり軌道にのって、参加希望の子ども が大勢待機しているほどである。

※約30年以上前に佐々木正美先生が寄稿されたものです。当時の文章のまま掲載いたします。定期的に更新予定です。
