子どもに寄り添うということ2

子どもを見るということは見守るということです。
表情と、その奥にある心を見るのです。
その子にしかない輝きを
毎日見ている親が見つけるのです。

見るということは、見守るということです。はいはいやよちよち歩きを始めた赤ちゃんは、少しずつお母さんのそばを離れて探索行動を始めます。
少し観察するとわかるのですが、ひとりで勝手に行ってしまっても、その先で何か不安を感じると必ず振り返るのです。そのとき、親(やそれにかわる人)が「いいよ」という顔をするとまた前に進み、「ダメよ」という顔をするとその先には進みません。このような行動を「ソーシャル・リファレンシング(社会的参照)」といいます。社会のルールや規律を他者から学ぶ力です。

精神医学者のロバート・エムディの研究で、非行や犯罪に走る子の多くが、乳幼児期に、親やそれにかわる人の見守りがなかったことがわかっています。
それほどまでに、親のまなざしは大切なのです。子どもを見てあげてください。見張るのではなく、見守るのです。

子どもの表情やしぐさから、何を感じているかを読みとってください。そしてその子にしかないかわいらしさ、得意なこと、大好きなもの、そういうものを見つけてください。

そんなまなざしで子どもを見てあげられる人は、親だけだと思うのです。

子どもに笑顔を見せてください。
「あなたがこの世に生まれてくれて
私は本当に幸せなのだ」と伝えるのは言葉より笑顔です。

それが子どもを幸福にするのです。

多くの人は、子どもをもったことを幸福に思っています。でも、その思いを子どもに日々伝えている人はあまりいないようです。

I’m happy to see you.(あなたに会えて幸せです)

欧米の人はこんな言葉をさらりと口にしますが、日本人はなかなか言えません。言えなくてもいいんです。お母さんが笑顔でいてくれれば、子どもは「お母さんはぼくといっしょにいると幸せなのだ」と理解できます。

よく「人の気持ちを考えろ」と言う人がいますが、他者の悲しみや苦しみを理解できる人になるためには、まず誰かと十分に喜びを分かち合う経験が必要です。それができて初めて、今度は悲しみや苦しみといった、マイナスの感情も分かち合えるようになります。

笑顔が子どもの情緒を豊かに育てるのです。

たくさんの人に、笑いかけてもらってください。たくさん喜ばせてもらってください。楽しさを分かち合う経験が多ければ多いほど、その子は幸せな子に育っていくはずです。それでも、お母さんの笑顔ほど、子どもを喜ばせるものはないということも、どうぞ忘れないでください。