しつけの質問箱

 

いたずらがはげしい

Q ハイハイやつたい歩きの今、さわってほしくないもの−鏡台の中身を出す、ビデオにさわる、ティッシュを全部出すなどの困ったいたずらへの対応をお願いします。

 

A 赤ちゃんや早い時期の成長はハイハイができるようになったとか、寝返りしたなど目に見えることなので、つい親は早く歩いてほしいと思ったりします。そのような運動機能も大切ですが、人として最も大切なことは快感・不快感の獲得なのです。信頼関係を深くし、自立へのプロセスとなる基礎の時期ですから、お子さんの欲しがること、やりたいことを満たしてあげることが必要です。「あそこになにか面白いものがある」「何だろう」と、家の中の何にでも好奇心や興味をもち、それがティッシュの箱だとしたら、中身を次から次へと取り出しては面白がる。こんな行動は親から見るといたずらが激しく手に負えないと思いがちですが、この欲求を満たしてあげることが大切なのです。まわりの環境や物に好奇心や関心を持つことは、やがて同年齢の仲間へも及び、社会性の発達の元となるからです。

 お子さんが危険でない限り、遊びのひとつとでもと思ってこれらのいたずらはたくさん体験させてあげてください。遊びに集中して繰り返す喜びを味わっていれば、いけないことをした場合にされる注意を聞き入れやすくなります。お子さんにさわられては困るものは、手の届かないようにし、なぜ興味を持つのか考えることでお子さんの新たな発見ができます。それを楽しみととらえてお母さんの気分転換になさるといいですね。このいたずらは一過性のものですから、おっくうがらずにたっぷりとやらせて満足感を与えてあげましよう。

回答者 井上ま津江(子育てコーディネーター)

 

 

断乳をいつにしたらいいか

 

Q 保健所の検診で断乳をしなさい、と言われました。まだ母乳がでるし、子どももほしがるのでやめたくありません。でもほとんどの人が一歳前後で断乳しているので心配です。

 

A 哺乳類というのは、お母さんのお乳で育てる動物の総称です。人間も哺乳類ですから当然、お母さんのお乳で育つはずです。人間の体の構造そのものは、たとえば堅いものをとらなくなったために鎌倉時代の人骨に比べて顎が小さくなったなどの変化は多少ありますが、基本的には大昔と変わっていません。

 母乳で育て、添い寝をして、スキンシップを大切にする子育てが、今、見直されています。大昔から自然に行われてきた母と子のふれあいが、やはり一番よいということです。お母さんになったら、だれしもいとしいわが子に乳首をふくませて育てたいと思います。赤ちゃんもオッパイを吸いながら、お母さんの温もり、におい、語りかけにふれて、情緒が安定し、安心して育つことができます。母乳哺育は、お母さんと赤ちゃんのきずなを強くして、子育てをいっそう楽しいものにしてくれます。

 断乳という考え方をする必要はないでしょう。生物学的にいっても自然卒乳というのが正しいと思います。ほかの食べ物を食べるようになって母乳が必要なくなるまで、二歳になったとしてもあげたほうがいいと思います。

回答者 宮川和幸(産婦人科医師)

 

 

働いていて子どもとかかわれない

 

 Q 仕事をもっているので、子どもと一緒に過ごす時間が制約され、なんとなく負い目に感じています。子どもと長い時間かかわらないと子育てがうまくいかないのでしょうか。

 

A お母さんが子どもと接する時間が足りないから、子どもがうまく育たないというようなことはありません。子どもと出会っているときが大事なのです。子どもと向き合っているときに、子どもの望む親である、ということです。ですから基本的には、必ずしも時間の長短はそれほど関係ないのです。親子一緒にいる時間の過ごし方が大切です。

 「お母さんは昼間仕事をしていて疲れているから、あなたの望んでいるようなことはしてやれない」「お母さんがくたびれていることをわかってちょうだい」という態度は少し問題があるでしょう。やはり、働いていることを幼い子どもに対する言い訳にしてはいけないと思います。働いているストレスを子どもにぶつけない、疲れたことを言い訳にしない、イライラを子どもに向けないといった基本姿勢ができていれば、仕事から帰った後の短い時間や休日だけの接触で大丈夫ですし、子どもにとってたいしてマイナスとはなりません。

 時間的な余裕が絶対的に不足しているのですから、お父さんやご両親の協力を得て、親子でいる時間を長くする努力をしましょう。そこでなにを最優先させて、どこを工夫したらよいか、という課題がでてくるわけです。いつでもできることは後回しにする、たとえば子どもが寝てからにする、というように。そして子どもと一緒の時間を充実させてください。子どもと一緒になにをするかの工夫と、なにを今してどれを後回しにするかの優先順位のつけかたにご家庭それぞれの知恵が必要でしょう。

回答者 佐々木正美(精神科医師)

 

 

だだをこねて困る

 

 Q 何でも「いやだ、いやだ」を連発します。「やって」と言うと「自分でする」。やらせようとすると「いや、やって」。くつ選びにも時間がかかり、イライラします。

 

A 赤ちゃん時代は絶対依存期、完全依存期といって、自分では何もできないのですべて親がやってあげます。望んだように愛され、依存を十分受けいれられた赤ちゃんは、依存と自立をくり返しながら成長していくわけです。そして望むような愛情を十分にかけて育てられると、自信がでて、人を信頼する力もつくのです。一歳半ぐらいまでの依存体験が大切になってくるのです。やがて一人でご飯も食べてみたいし、あれもこれも自分でやってみたくなっていきます。このように、したいことをどこまでもやろうとしたり、「いやだ、いやだ」が多くなって思い通りにならないと泣きわめいてかんしゃくを起こすなどの傾向も強くなり、親をイライラさせる原因にもなります。しかし、これは自我意識に目覚めた当然の自己主張の姿ですから、しっかりとした意志をもった人間としての成長のためには喜ぶべきことなのです。わがままとして押さえ付けるのではなく「いやなのね」「してほしかったのね」と、お子さんの気持ちを受けいれながら「いやなら後にしようね」と気分をとり直してあげながらゆっくり待ってあげてください。

 自分でくつを選ぶ…なんと素晴らしいことでしょう。「きっとこの子はセンスがあるんだわ」ぐらいのゆったりした気持ちで待ってあげられたら、次に来る反抗期も楽しみになってきますよ。早くしなさい、ぐずぐずしないで、という大人の都合の生活パターンを、お子さんのリズムに合わせ、人生の練習と思って、成長を楽しみに見守ってあげてください。

 回答者 大八木美代子(幼稚園教諭)

 

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