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早い時期から見せていると

 

乳幼児の視聴時間と開始年齢(177人)

 

 

 図1のように、幼児期に長時間見ている子どもの家庭は乳児期の早い時期から見せています。6ヶ月以前がすごく多いですね。今の中高生にも調査しましたが小学生時代に長時間テレビを見ていた子は、 1歳未満から見ていた子どもがとても多い。つまり、早くから見せると長時間視聴につながる可能性が出てくるわけです。テレビ・ビデオを長時間見ていると、ゲームも長時間になって相関が高いという他の研究結果も出ています。

 幼児期や小学校の低学年の時に、テレビ・ビデオは見たら消すというようなくせをつけていく必要があります。コントロールするということですね。便利なものとどうつきあうかだと思います。

 毎日 2時間以上テレビやビデオを見ている子は、時々はいい点を取るかもしれませんが学習成績は落ちていくという先生方の指摘もあります。視聴時間と学習成績の相関は高いようです。家庭でテレビ・ビデオの見方をコントロールし、「一日に何分よ」とか「見たら消すのよ」と、約束をすることは大切です。視覚刺激が次々と押し寄せる中では、聞くだけで理解したり、考える、想像するという力はとても落ちてしまうからです。

 学級崩壊も、テレビやビデオを視聴する時間がどんどん増えたことも影響しているのでないかと思っています。先生たちとの学習会では、「授業中に人形を持ちながら話して子どもの注意をひきつけては」と言っています。実際、1年生の授業では手遊びなど幼稚園、保育園でやった遊びをしてから、授業をしている先生もいます。

幼児期の育ちに必要なこと

 

 自分の関心とか意欲というものと、脳からの指令で身体が動くことがつながるのが人間の行動なのですが、自分の心が動く前に刺激を与えられてしまうと、自分の心と脳と体の動きがつながらないのです。テレビ・ビデオやゲームに長時間接触した影響との関連性は、今の段階ではまだ解明できていません。今後の研究課題です。

 けれども脳というのは1〜2歳の頃に、情報が伝達される基本的な神経同路図ができると考えられています。その時期までにどういう体験をしてきたかが大きいのです。お母さんやお父さんにだっこされて笑いかけられたり、やりとりをするという経験が、いかに大事か。その対人的な経験があってその上で自発的に自分の心が動いて物事を確かめる(なめてみるとか、触ってみる)そういう自分の好奇心から、心と体はつながっていきます。

 お母さんやお父さんとコミュニケーションをして、人間への関心とか、コミュニケーションのしかた、基礎を学んでいくこと、そして手足を含めた五感をつかって自分から世界を探検してみる(いたずらしてみる)。その当たり前の生活が 0〜2歳頃までは大切です。

 不充分な体験をバランスよく補完させていくこと、つまり子どもにとって必要な体験をたくさん補っていくことで、子どもはかなり変わっていくと思います。

長時間視聴の背景にあるもの

 

乳幼児の視聴時間と「さみしい」と感じる人(177人)

 

 テレビがついていないと寂しいというのは、子どもの視聴時間に関わらず大人のほうです。2長時間視聴には一番子どもと一緒にいるお母さんが関わってきてしまっています。

 でも、乳幼児の長時間視聴には背景があって、ひとつにはお母さんが一人で育児しているからです。助ける人が他にいなかったから、物に頼った。

 また少子化時代に家庭の中で、子どもへの期待が集中して、子どもに小さいうちから教育的なことをしてきた。実際の話を聞くと身につまされる理由がいっぱいあります。お父さんが物理的に子育てに関わることが難しかったり、人間関係のつながりが乏しい集合住宅や、助け合うことがあまりない地域に住んでいるということが共通点でした。ですから住環境も多少関係があるとしても、父親の働き方や地域のネットワークはどうなのかも大きいと思っています。

 地域の中に子どもが遊べる安全な場所がないと、室内に閉じ込めて室内遊びだけで一日を過ごすことになります。単に安全と感じられるだけではなく、親も子も守られていると感じられる場所が必要です。親と子がお互いに集い合える、人間関係もコーディネートできる人材もいります。そういう所がないと親のストレスになるだけではなく、子どもの育ちにとっても厳しい状況になるのではないでしょうか。

成長に大切なのは実体験

 

 このことを軽減させるためには、子どもだけを預かるだけの子育て支援ではなくて、親子が遊びに行ける所をつくらないといけないと思います。

 テレビ・ビデオがどういう内容かよりも、赤ちゃんの頃から便利なものを使い過ぎていないかということと、子どもの成長にとって大切な生活や体験があるから、偏った体験はしないようにしていかないと、子どもの成長は難しいと私は思うのです。

 昔は親だけが頑張らなくても、あちこちで誰かが遊んでくれて、体験のバランスが補完されました。でも今は、親が気をつけないと子どもの体験のバランスが崩れてしまう。一緒に身体を使って遊んでくれたり、水遊びをさせてくれたり、そういう人は少なくなってしまった。だから今の子育てはすごく大変だと思います。

 親の負担を増やすつもりはありません。例えば一人で見せちゃいけないというと、テレビやビデオを見せている時はほっとしていたお母さんも、一緒に見なきゃいけないと思ってしまう。一人でコーヒーを飲む時間が無くなってしまう。画面を見て、話しかけてさらに干渉がひどくなってしまうことのないように。時々声をかけたり一緒に見たり。適当さを上手に取り入れてほしいです。()

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