薬物吸引の影響

 

// シンナーを吸引すると //

青少年の中には、シンナー等の薬物を乱用している子が時々見られることがあります。学校では、薬物の害について生徒への指導が行われていますが、無くなることはありません。

かつては、シンナー(トルエン)の吸引が多かったのですが、最近は手に入りにくいため、ライターのガス、接着剤などの吸引をするようになりました。いわゆるアンパンからガスパン遊びへと変容したのです。ところが最近は卓上コンロのカセットガスを吸引する子まで現れて、覚せい剤に手を染める子どもたちも珍しくなくなってきました。それも蔓延する傾向にあります。

シンナー吸引は、ビニール袋を口に持ってきて吸っていましたが、今はそんな子はいません。すぐに見つかって発見されるからです。清涼飲料水の缶に入れて、口元にいかにもジュースを飲んでいるかのようにするとか、小さなドリンク飲料のビンに入れてティシューに染み込ませ、手に持って吸っています。発見されてもティシューだと捨てたり逃げやすいからです。卓上コンロのガスは直接口に持ってきて吸っている子もいます。

■ 急性の作用

 有機溶剤ガスの吸引によって、時には昏睡状態になり死亡する場合があります。原因としては、呼吸麻痺、酸素の欠乏による窒息死などの説があります。

 昏睡状態にいたる前には、酩酊状態、いわゆるラリっている状態となります。近くにいると、シンナーの臭いが発散してすぐにシンナー吸引と分かります。

 酔っ払ったみたいにフラフラし、ぼうっとしたわけの分かりない状態になっています。気分はイライラして怒りっぽくなったりするとか、非常に明るくなって、うわついて気分で発揚していることもあります。いずれも正常な様子ではありません。

 周りのものが大きくなったり、小さく見えたり変形して見えたりと知覚の異常が認められることがあるそうです。また身体が軽くなったり、重くて沈む感じがしたりと幻覚が体験されることもあるといいます。自覚症状として、頭痛、耳鳴り、吐き気、食欲不振、倦怠感、体重の減少がみられます。

 

■ 慢性の作用

 シンナーの慢性的な吸引では、「あいうえお」と正常に発音できなくなる言葉の障害が見られたり、また肝機能や造血機能に影響が現れ、脳波や心電図に異常がみられるようになるということです。このような身体の障害のほかに重度の吸引の場合は、四肢のしびれや麻痺、筋肉が萎縮してしまい歩行困難になる場合があります。
 重度になると正常な社会生活が非常に難しくなるといえましょう。

  このような身体への影響だけでなく、精神的には幻覚や妄想があらわれて、無気力、無関心といった有機溶剤精神病となることがあります。吸引よる幻覚で、人を殺傷するなどの傷害を起こしたりする危険性があります。

シンナーをやめても後遺症で苦しむことになります。ちょっとしたストレスが重なると、幻覚などの症状が再現する「フラッシュバック現象」がみられる場合があります。

 

  シンナーの吸引は、「毒物及び劇物取締法」違反になり、補導された少年は、警察署を経て家庭裁判所に送られます。
(ということになっていますが、何回も発見され補導されても家裁までいく子は少ないように思います)

  また覚せい剤の常用者の前歴をみると、覚せい剤以前にシンナー吸引の例が多いという警察発表もあります。薬物の売買等で暴力団との接触をし、深みにはまる危険性もあります。

  シンナー吸引は、このように人間性を破壊する危険な行為です。身体も心も破壊され「人間らしさ」が奪われ、ごく普通の社会生活を営むことが困難になります。吸引の心配がある場合には、「そのうちやめるだろう」というような安易な対応や、「ちょっと様子を見て」などの、その場しのぎの対応では、取り返しがつかなくなり命取りになる場合があります。

シンナー吸引には、毅然とした対処が必要になります。決して家庭だけで解決しようとせずに、相談所や専門の医療機関等へためらうことなく相談し、適切な対処を取ることが必要です。

 

参考資料 日本学校保健会 「喫煙・飲酒・薬物乱用防止に関する保健指導の手引き」 第一法規 1988 など

Takahashi