思春期と青年期 

 

  中学生から高校生のころは思春期といわれます。また青年期という言葉もあります。何気なく使う言葉ですが、微妙に意味は違います。その違いと意味について考えてみましょう。

 

   「青年期」とは「思春期の発来に始まり、彼らが心理・社会的な自立をとげて大人の仲間入りをするまでの期間である。思春期は青年期の一部であるが、青年期の前半の部分に位置することになり、身体的な変化が大きな役割を演じる。その始まりは、女子でいえば初潮、男子でいえば精通の体験による時期である」(福島章「青年期の心」講談社現代新書)と説明されています。一般的には、中学生、高校生、そして大学生の時期になるでしょう。学童期(児童期)と成人期の中間の、大人でもない子どもでもない時期に当たるもので、社会的、心理的成熟による発達段階の区分ということができます。

 

  一方、「思春期」は小学生高学年の頃から現れる第二次性徴の現れにともなう身体的、生理的な変化からの区分になります。性的な成熟により自らの身体的なものへの関心、それに伴うことによる異性へ好奇心や恋愛感情などで特徴づけられるのです。

  この時期は性的な成熟も大きな要素ですが、身体的な成長が一段と大きくなり活動量が増えます。抽象的思考や客観的思考が発達します。同性の友人グループとの交友が深まり、自分らしい生き方を模索し、親への依存的な心と干渉を受けるのは嫌という自立心との葛藤が生じます。親からの自立心は反抗期として特徴づけられることもあります。

  日常的には、青年期よりも思春期という言葉の方が多く使われるようですが、青年期の方が概念的に広い意味を持っています。 一言で表現すれば、思春期は生理的生物的な発達による区分、青年期は人格の発達による区分とでもいえましょう。

 

  青年期は「おおよそ小学校の終わりの12歳前後にはじまり、大学生前半の20歳前後辺りまでをさすと考えられる」(Microsoft Encarta Encyclopedia 2001)と一般的に考えられてきました。しかし近年は、青年期の終わりを「社会心理的な自立の達成だと定義する。学校生活を終え、職業について、経済的な自立を達成した時期を青年期の終わりとする。しかし、現代の青年たちが就職したからといって、仕事の上でも家族との関係でも自立したといえるかどうかは大いに疑問である」(福島章 前掲書)と述べているように、現代の青年期は一昔前よりも延長したといわれ30歳くらいまでの時期に相当すると考えられてきています。

 

  第二次性徴の見られる女子10歳,男子12歳〜15,16歳ころまでを青年期前期。このころは心身の変化が激しい時期に当たります。16歳〜20歳ころは中期で、自己を再構築しようとする時期になります。後期の25〜30歳くらいまでの期間は現実社会と自己とを統合させていく時期と考えられます。

  また、青年期と成人期の間に「ポスト青年期」といわれる新しいライフステージが誕生したと考えられてきています。「社会的ひきこもり」「パラサイト・シングル」「無業者」など大人になりたがらない青年の増加が指摘されています。とりわけ15歳から34歳の無業者といわれるフリーターは2002年度には200万人に達すると危機感を訴える論調もあり、今後の社会的な課題となるのではないでしょうか。

 さて青年海外協力隊は、20歳から39歳までの人を募集しています。熊本青年会議所の会員190人の平均年齢は33歳(2003年度末のWEBサイトによる)。どうやら巷では30歳を超えても青年で大丈夫なようですね。 また「青少年」という言葉もあります。なにやらややこしいですね。

 (参考文献:山田昌弘「パラサイト・シングルの時代」筑摩書房、宮本みち子「若者が〈社会的弱者〉に転落する」洋泉社  他 ) 

 

 

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