■友人・仲間の悪口を言わないで・・・

 授業をさぼって出席しない、遅刻や無断早退が目立つ。深夜になってもなかなか帰宅しない。どうも友達とつるんでいるようだ。このような傾向になると、次のように話すお母さんがいます。

「悪い友達とつき合うようになって困っています」

 あたかも、わが子が悪い友達に引きずられて怠け道を歩き始めたものの言いようです。悪いのは相手のせいと感じているのです。

 けれど、相手の友達のお母さんにとっても実は同じ気持ちになっていることが多いのです。こうしたとき、友達を責めてはかえって問題はこじれてしまいます。

 思春期の子どもは、幼児期と違って自分なりの友達を選択していきます。趣味やスポーツ、娯楽など自分と共通の価値観を持ち、自分に共感してくれる人、共通の目的意識を持てる人が友達となっていくのです。ですから「友達=自分」と同じことになります。友達を否定されることは、自分自身を否定されることと同じ意味を持ちます。ですから、友達の悪口を言われるとものすごい反発が返ってくることでしょう。それは、自分が信頼されていない、自分が否定されているということの意味を含んでいるからです。

 この時期の子どもは、仲間の目に自分がどう映っているかというところをみて、そこで自分の姿を見つけるのです。ですから、髪型、化粧、服装、バイクの種類等に友達はどう反応するか、友人の評価を大切にします。親、教師よりも友達が最も大切な時期です。そして自分がどういう領域の人からどのように評価され、どういう種類の人に嫌われるか、変な目で見られていないかを感じ取っていきます。こうして、自己意識を確かなものとし、社会への適応力をつけていくのです。

 十分な評価や好意的な反応が得られない若者は、多くの場合、自分の個性、能力、適性等が自覚できず、自己意識や自己イメージの確立が未熟な場合があります。自分の気持ちを表現するのも苦手です。こうした若者は、内心に隠れた不安があって、同じような仲間と集まります。

 シンナーなどの薬物、バイクによる激しい暴走や性的遍歴など、強い刺激を媒介として友達関係を持とうとします。薬物も暴走も一人で行うことは、ほとんどありません。強い刺激を媒介にして、友達関係を維持しようとするため、しばしば反社会的な行動になることもあります。これらは、 潜在意識にある不安、さびしさ、孤独感の現れでもあるのです。

 このような子どもたちは、受容され、自分自身を受け入れられるところで生活が安定していきます。佐々木正美先生は「人を信じることと、自分を信じることは同じことである。だから自信とは、人を信じられることである」と言っています。子どもに自信を持ってもらうためには、まずわれわれ大人が、子どもを 信頼することが最初ではないでしょうか。

 ただし、信じていると言いながら、何か条件を付けたり「もうあなたの、尻ぬぐいはごめんだから」とか「いいかげんにして」「お母さんを苦しめないで」という気持ちがどこかにあると子どもはすぐに感じ取り、意味をなしません。「目は口ほどにものを言う」のとおり、子どもの感性はするどいものです。

 母は「おふくろ」とも言われますが、この言葉は悪いものも含めてすべて包み込んでしまうことから生まれたと言われます。子どもを丸ごと信じてあげることです。「子どもを救えるのは家族しかいない」というような言い方をされる場合がありますが、すべてを信頼し包み込んでしまえる包容力は家族しかできないという意味のことを言っているのでしょう。

 

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