幼稚園からのレター 4

「失敗をしよう」

 

川崎L幼稚園の「園だより」から、失敗してもいいよ。失敗をしようとのメッセージ。
Rie先生の失敗談は、子どもから大人まで一人一人考えされられる便りでした。

 

 

ことり組 7がつ

今回は、私の変わった失敗体験を書こうと思います。

高校入学と同時に両親から通帳を渡されました。「この中には理恵の1年分のお小遣いが入っているから、自分で管理しなさい」とのことでした。

月々の学費、病院代は両親持ちでしたか、学校の教科書、教材、買いかえる制服(体操着、ジャージーetc)、もちろん私服も、そして家以外で食べる食費 etc・・・責任持ちなさいとのことです。通帳には今まで手にしたことのない金額が! バカな私は金持ちになった気がしてウキウキでした。単純に12カ月で金額をわり、使う額を決め、4、5、6月は順調にいきましたが 7月。部活を2つ掛け持ちしていた私は夏休みの合宿参加で多大の出費・・・。その時始めて使い方の間違いに気づき慌てたものでした。このままでは進級するまでもつかどうか・・・。そんな時にかぎり通学用の自転車が壊れました。自転車を買うのもグッとがまん。計画性のない自分が情けなくなりました。とりあえず2年になるまで歩いて通学。今まで10分の道のりも、歩けば30分から40分。自業自得です。その道のり、信用してお金をまかせてくれた両親のことや学生生活がこんなにもお金がかかるのか・・・遅刻したらバチが当たるは・・・etc。色々なことを考えたものでした。そしてやっと失敗だらけの1年間が過ぎました。

次の年は少しかしこくなり、春・夏・秋・冬の衣料費、教材費、雑費を確保し残りを12ヶ月でわる事ことを試みました。色々とありましたが、お金の管理=自己管理を学んだ、大きな体験でした!

後から聞いた話ですが、両親もこのお小遣い制にするのに、考え悩んだそうです。私が失敗し、苦労するのも予想していました。途中歩いて通う私に、自転車を買ってやろうとも思ったそうです、ぐっと我慢!(つらかった〜と言っています。)自分でどうにかしようとしている私に最後まで口を出さず見守り続けてくれました。そんな両親に私は感謝しています。

今月の目標は「失敗しよう」です。愛する人が失敗する姿を見るのは辛いことでしょう。私は女優の故 宇野千代さんが残した言葉、「失敗しても後悔しない。失敗が私を強くした。」を聞いてすごく安心したのを覚えています。70過ぎのおばあちゃまが生き生きと語る姿は素敵でした。

子どもたちと心配を通して力強く歩んでいきたいと思っています。

p.s. もう夏休みですね。

皆様お元気で!

2学期お会いできるのを楽しみにしています。

Rie

 

 

えんだより 1999年7月

 

先日、汐見稔幸さんの講演を聴く機会がありました。

育児や保育を重要な柱として位置づけた教育学を作り出そうと志向していらっしゃるそうです。「もうなくしたい子どもの悲劇」というテーマでした。その中で、強く心に残った言葉がありました。

最近の子ども達の傾向として

A.大人から話を聞いてもらっていない(甘えられない)−大人の期待を聞かされるばかり
B.失敗をしちゃいけない(失敗が許されない)
C.勝たないといけない−人に負けたら恥

それぞれ心に突き刺さることばかりですが、特にBの失敗についてその時以来考えています。現代の子ども達は、失敗を許されて育っているでしょうか。「あっ まちがっちゃった」といって画用紙をすぐ裏返したり、「○○しようか」と問いかけると「出来な〜い」とやる前から一斉に言われると、少々寂しい気がします。

子ども達全般にまちがうことへの不安が強くなっているかもしれません。一昔前まで家庭でも失敗はつきものでした。

薪(まき)でお風呂をわかしたりご飯を炊いていた時代には、わかしすぎの熱いお湯にとび上がったり、黒こげのご飯に皆で笑い合っておこげのお握りをほおばったり、生活のあちこちの場面で、家族の失敗を認め合ったり、そこから学習のできる事柄があふれていました。現代はそういう意味でも便利すぎて(失敗しない家事−−−−ひとりでに止まる風呂、自分で判断してくれるレンジ、まずおこげの出来ない電気釜・・・)大人にとっても窮屈な、でも便利な時代です。

お父さんやお母さんの「わー、失敗しちゃった!!」という朗らかな声が昔より減っているでしょう。お水が大好きでもこぼすと近所に迷惑がかかりますので、ジャージャー出しすぎる前に自分で判断する前に止められてしまいます。似たようなできごとがたくさんあると思います。

失敗をしつつ、試行錯誤をくり返しつつ成長するのが子どもです。先日講演してくださった木都老先生もおっしゃっていましたが、「好奇心にあふれる子、自信にあふれる子−太い根っこ−」の為には、失敗を恐れさせないことが本当に大切だと思います。

 子どもたちが大好きで、大人がキラいなこと

「こぼす」−「こわす」−「よごす」−「ぶちまける」−「バラバラ」−「ぐちゃちゃ」−「やぶる」−「たおす」−「ばらまく」−「つぶす」−「ガンガン」 

その手前で止めさせられることが多いですね(私も子育ての時を思い出しています)。好奇心の発露は、乳幼児時代は大体こういう結果になりがちです。

完全に見えること、美的、建設的なことは、たくさんの失敗の上に、好奇心の満足の上に成立します。それらはもう少し後の時代だと思っています。

今年の夏休みは「たくさんの失敗を楽しんでください」

どうぞ子ども達に失敗してもいいんだよという寛容のメッセージを伝えてあげてください。先日の誕生会で、みゆき&おおや手品師が腕前を披露してくれました。その中で皆がとっても喜んだのは、コンビの失敗でした。皆、他の時より暖かい気持ちで失敗手品を受け止めているように思いました。

 

川崎市L幼稚園の「園だより」1999年7月号から一部を紹介しました。

 

※写真と本文とは関係ありません

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