「遊び」を通して、友を信頼し自分に誇りが持てるようになる。それは自分を好きになること。自然豊かな地で、すばらしい幼児教育を行っている相模みのり幼稚園(海老名市)の「子育て通信」からその一部をご紹介します。

 

 

 

相模みのり幼稚園 子育て通信第22号

 
   
接点を持つ
トラブル発生
いじめっ子がいる
鬼ごっこから考える
なかま遊びから育つもの
   

 

 

 

   今回は、1人遊びからどの様になかま遊びに発展していくかを考えてみます。またそのなかま遊びの中に、子どもが育つための色々な要素が含まれていることを解きあかしていこうと思います。

 

【接点を持つ】

 

 子ども達は、まず自分の好奇心に基づき、おもいおもいの遊びを始めます。ある子は粘土でおだんごを作ったりします。ある子は砂場に穴を掘ったりします。ある子はおなべに砂と水を入れて料理をしたりします。ある子はボールを足でけっています。ある子はフラフープを電車に見たてたり、ころがしたりしています。  こうして自分のやりたい事で遊んではいますが、まだまだ周りに対する意識はあまりありません。特に、3才で入園してきた子ども達は、まだ1人の世界を楽しんでいます。  ある時、砂場でK君が1人で黙々と穴を掘っていました。そこへA君が水を入れてしまいました。K君にとっては予想外の出来事です。 しかし、今まで漠然と穴を掘っていたK君にとって、はっきりとしたイメージが出来ました。それは海かもしれませんし、川かも、池かもしれません。そこでK君はA君に「また、水くんできて」と言ったりします。そしてA君は再び水をくみに行きますが、この時にはA君もはっきりとした目的を持っています。こうしてK君とA君との接点が出来ました。 この後、2人はあれこれとイメージをふくらませては、会話を楽しみながら砂場での遊びを続けます。K君とA君は、なかま遊びの原点に立ちました。

 

【トラブル発生】

 

 一方、C君は1人で穴を掘ったり水をくんできたりして遊んでいました。C君がシャベルをおいて水をくみに行っている間に、S君が何も知らずにC君の使っていたシャベルを使い始めてしまいました。帰ってきたC君がシャベルを使おうとした時、すでにシャベルはS君の手の中にありました。  ここでトラブル発生です。C君はシャベルは自分が最初に使っていたのだから、自分の物と思っている。一方、S君は誰もいない穴の所にシャベルがおいてあったのだから、自分が使っても当然であると思っている。  これが最も多い集団生活始まりの頃のトラブルの原因です。両者ともまだまだ自己中心性がぬけ切れていませんので、当然起こり得るトラブルです。しかし、これが「相手を意識する」という重要な経験の場になるのです。ここで重要なポイントは「言葉」です。ちょっとした言葉かけがあれば、こうしたトラブルは発生しないのです。言葉によるコミュニケーションの取り方がポイントです。

 

【いじめっ子がいる】

 

 入園当初は、幼稚園の様々な場でこの様なトラブルが発生します。しかし、それがなかま遊びの原点になると考えていますので、大人が簡単に白黒つけてはいけないと思っています。両者の言い分を良く聞き、それぞれ相手の意志を理解できる様に対処していきます。  しかし、なかなか自分の意志を表に出せないタイプの子もいます。すると、こういうタイプの子は家に帰ってから「いじわるする子がいる」という様な表現をすることがよくあります。この時期は、皆が皆自己中心性が強いためと、コミュニケーションの取り方が未熟なために起こるトラブルなので、どうしても避けては通れない「関所」みたいなものだと思っていてください。  自分の意見をしっかり言うという事と、相手の意見をしっかり聞くということが基本にあり、その上で意見の調整を図ることがなかま遊びの最低限の必要事項です。

 

【鬼ごっこから考える】

 

   子ども同士の接点があり、トラブルをうまく乗り越えられるようになると、本当の意昧でのなかま遊びの始まりです。ここでは「鬼ごっこ」を例にとって考えてみます。  鬼ごっこをしたくなったB君はまずなかまを集めます。鬼ごっこは1人ではできません。2人でもあまり面白くありません。最低でも3人いなくては面白くありません。ですから、B君は周りにいる子に声をかけます。やっとの事でX君とY君が「やるやる」と言ってくれました。  3人で話し合い、誰が最初に鬼になるか、どういうルールでやるか決めます。時には、ジャンケンで決めることもあります。こうして3人で鬼ごっこをしているうち、Z君が「なかまに入れて」とやってきました。3人は、また相談してZ君をなかまに入れ、ルールの説明をしてから鬼ごっこを再スタートさせました。  しばらく4人で鬼ごっこをやっていましたが、今度はZ君からの提案です。今までは普通の鬼ごっこだったが、今度は「色オニ」にしようという提案です。4人は相談して「色オニ」をやることに決まり、ルールの確認をして再スタートしました。 何度も何度もくり返し鬼ごっこをし、時にはルールを少し変えたりしながら遊びます。充分遊びきった4人は、大きな満足感と充実感を味わいます。そして「また今度やろうな」と約束します。

 

【なかま遊びから育つもの】

 

 この様に単純に見える「鬼ごっこ」ですが、実はこの中に子どもが育つための重要なポイントがたくさん含まれています。

それをここで整理してみます。

 

 1 なかまに声をかける。(コミュニケーション)

 2 ルールを決めて遊ぶ。(倫理性)

 3 なかまの承認を得て、新たに人が加わる。(社会性)

 4 ルールを変える。(創造性)

 5 ルールを守る。(道徳性)

 6 皆で楽しさを昧わう。(共感性)

 7 またこの子たちと遊びたいと思う。(期待感)

 

 この様な一連の作業がこの「鬼ごっこ」という遊びの中には含まれています。こうした作業がなされて初めて、子ども同士のなかま遊びが成立していくのです。同時にカッコ書きしたような力が子ども達の中に育っていきます。こうした力は、子ども達が社会生活を送っていく上で非常に重要な力になります。  これは鬼ごっこに限らず、子ども達の遊びの中にはたくさん含まれています。ですから子どもが育つためには、「遊び」が絶対に必要なのです。子ども達が、自分の人生を切り開いていくため「遊び」は欠かせない要件になります。したがって、私達は子ども達に遊ぶための「場」と「時間」と「なかま」を保証してあげなくてはならないと考えています。

 

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相模みのり幼稚園(神奈川県海老名市)

  

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